主の降誕(夜半のミサ)
(ルカ2.1ー14 今日、あなた方のために、救い主がお生まれになった)
皆さん主のご降誕おめでとうございます。先日、日本漢字選定協会が発表した今年の漢字は「戦」でした。今年はロシアのウクライナ侵攻が始まり、暗いニュースが多かった年です。日本では7月に安倍晋三元総理が暗殺されました。新型コロナはまだまだ勢いが収まらず。ウクライナの戦争も和平の目処が立ちません。ウクライナではこの寒い時期に電気も水もない中で苦労している人がたくさんいます。ロシアのプーチン大統領はクリスマスと新年には停戦するつもりはないと言い切っています。百年以上前の第一次世界大戦の時には、今よりまだのどかな戦争をしていたようですが、「戦上のメリークリスマス」の映画になったように、クリスマスにはお互いに戦いをやめたのです。
時代は進み科学や武力は進歩したのに、人間の理性の方は追いついていない状態です。今日は神さまが人間を救うために、御ひとり子を遣わしてくださったことを記念する日です。わたしは、くだらないことですが、もしわたしがクリスマスに当たって一つの漢字を選ぶとしたら。今年の漢字は「馬」を選びます。イエス様が飼い葉桶に寝かされたからではなく、人間がいつまで経っても「馬鹿」のままだからです。神さまは偉大さの中にではなく、小さい姿で人となってくださいました。力や権力とは無縁の弱い赤ちゃんになってわたしたちのもとにやってきました。
昨年のクリスマの深夜ミサで教皇フランシスコの説教は、「クリスマスにはイエスに何を願ったらいいでしょうか。小ささという恵です。主よ小ささを愛することを教えてください。真の偉大さに達する道を理解させてください,わたしたちはいつも成功を夢見ています。神は権力や強さを求めません。ただ優しさと内的な小ささを願っておられるのです」と言われました。
イエスはわたしたちの日常生活の小さなことの中に価値を見つけ大切にするよう招いています。神さまは小さくなられました。弱さや小ささの中におられるイエスに出会うことを心がけましょう。
先ごろ年末になって、日本の政府は国会に諮らない閣議決定だけで、敵基地反撃能力を含めた、防衛費増額を決めました。強くすることがだけが平和につながるとは思えません。神のなさり方は、違います。偉大なこと、力を示すことではなく小さくなることに人間の幸せがあることを教えているような気がします。