【聖ルカ】
ルカは、新約聖書のルカによる福音書、使徒行録を書いたと言われている人物です。また、本業は医者だったと言われており、彼の名前は病院の名前に使われることも多いです。また、ルカは使徒パウロに同行し宣教旅行を共にしました。
「わたしたちは、除酵祭が終わった後に、ピリピから出帆し、五日かかってトロアスに到着して、彼らと落ち合い、そこに七日間滞在した。七週の初めの日に、わたしたちがパンをさくために集まった時、パウロは翌日出発することにしていたので、しきりに人々と語り合い、夜中まで語りつづけた」。
(使徒行録20:6~7)
「愛する医者ルカとデマスとが、あなたがたによろしく」(コロサイ人への手紙4:14)。
「わたしの同労者たち、マルコ、アリスタルコ、デマス、ルカからも、よろしく」
(ピレモンへの手紙1:24)。
このパウロや同行者ルカの働きによってキリスト教は世界宗教になって
いくのですが、パウロの活動について私たちが詳しく知れるのは、ルカが
使徒行録で記述してくれたおかげです。
しかしルカの生涯については、聖書にもほとんど書かれていないので詳しい事は分かっていません。
分かっていることは、ユダヤ人ではない異邦人からクリスチャンになったこと、使徒パウロの宣教旅行の同行者であること。医者で教養の高い人物だったこと、ルカによる福音書と使徒行録を書いた人。アンティオキアで生まれギリシアで亡くなる。
医者で、歴史家であり文筆家でもあるルカは、画家としての才能もあり、処女マリアの肖像を描いたとされ、ボストン美術館には、“聖母を描く聖ルカ”という作品が残れています。
ルカによる福音書は、文書が美しく、洗練されていると言われます。
「テオピロ閣下よ、わたしもすべての事を初めから詳しく調べていますので、ここに、それを順序正しく書きつづって、閣下に献じることにしました。」(ルカによる福音1:3)。
「すると御使いが言った、「恐れるな、マリアよ、あなたは神から恵みをいただいているのです」。 「見よ、あなたは身ごもって男の子を産むでしょう。その子をイエスと名づけなさい」
(ルカ福音書1:30.31)
「ザカリヤはこれを見て、おじ惑い、恐怖の念に襲われた。 そこで御使いが彼に言った、「恐れるな、ザカリヤよ、あなたの祈りが聞き入れられたのだ。あなたの妻エリザベトは男の子を産むであろう。その子をヨハネと名づけなさい。」(ルカ福音書1:12.13)
福音書によってイエスの描き方は違いますが、ルカは神であり人間でもあるイエスの情緒豊かな人間的な面に焦点が当たっています。イエス・キリストはユダヤ人・異邦人どちらにも救い主であると伝えているのです。
ルカによる福音書は、よく「憐れみの福音書」と言われます。神の憐れみ深さ、特に弱い人や苦しんでいる人に対する憐れみを強調し、私たちもこの神の憐れみに倣うようにと招いているからです。
ルカ福音書の「憐れみのたとえ」。
★ 100匹の羊の中の一匹の羊がいなくなったはなし。
★ 放蕩息子のはなし。など。
★ イエスは、一人息子を亡くしたやもめの母親を見て「憐れに思い」死んだ息子を生き返らせた。
「主はこの婦人を見て深い同情を寄せられ、「泣かないでいなさい」と言われた。そして近寄って棺
に手をかけられると、かついでいる者たちが立ち止まったので、「若者よ、さあ、起きなさい」と言
われた。すると死人が起き上がって物を言い出した。イエスは彼をその母にお渡しになった。」
(ルカ福音書7:13~15)。
★イエスのことを知らないと言ったペトロに憐れみのまなざしを注ぎ(同22・54〜62)、その一方で
「あなたがたの父が憐れみ深いように、あなたがたも憐れみ深い者となりなさい」(6・36)と命じ
ておられます。など・・・福音書にはたくさんのたとえ話が書かれています。
“ルカによる福音書”にしかない、たとえ話が17もあると言われています。
「福音書」という書物を通して、私たちに神の救いのメッセージを告げ知らせてくれたのです。